ご挨拶
私どもが開業した頃は、私どもにお寄せいただくご相談内容の中心は「集患」であり、それぞれの院長先生の強みをいかに地域住民に分かってもらうかがテーマでした。こうしたセールスマーケティングはクリニックではあまり行われていなかったものの、他の業界においては既に何十年もの蓄積がありました。そのため、中小企業診断士としてチームコンサルティングに関わった事例のうち、クリニック用にアレンジして実行していただくだけで目に見えて効果が出たことも少なくありませんでした。
ところが近年、クリニック経営を取り巻く環境は大きく変化し、「集患」に加えて「人材確保」も大きなテーマとなってきました。人手不足は日本のいたるところで問題になっているテーマであり、ますます解決が難しい状態に入っていくものと存じます。人材紹介会社や人材派遣会社の利用も、運よく人材が確保できれば、という状況になりつつあります。
クリニックが看護師や衛生士などの医療スタッフを獲得するには、どうすれば良いのでしょうか。そのヒントを探るため、また私自身の医療に関する興味から、臨床検査技師の養成機関に入学し、新卒のクラスメート達と就職活動期を共に過ごしました。みんな、強烈な病院志向がありましたが、必ずと言っていいほど口にする言葉がありました。そこに、人材獲得のための ヒントがあるような気がします。
平成、令和へと時代が移りゆくなかで、色々なものが変わってきました。診療方針をしっかりと据えて診療体制を構築することは大切だと思いますが、それに加えて、その時々の人員状況に応じて診療体制を変化させていくということもまた、重要になってきていると思います。代診の先生に来ていただけるのかどうかで、クリニックの診療体制は大きく変わりますが、これと同じことが、今や看護師や衛生士にも、受付スタッフにも言えるのではないでしょうか。
これからも、絵に描いた餅ではない、現場に即したプランの提案と実行可能なプランの提案と実行サポートに精進して参りたいと存じます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
所長 小川 理
所長略歴
中央大学法学部卒、株式会社十六銀行、税理士法人勤務を経て、税理士事務所開設。医療系コンサルティングの他、中小企業診断士として製パン工場や温泉旅館のチームコンサルティングにも参画している。趣味は囲碁とヨット。
保有資格:税理士、臨床検査技師、中小企業診断士。
著書:「個人事業主のための国税通則」2011年、星雲社
論文:「消費税率アップと中小企業経営」2013年、診断あいち